遺伝カウンセリングに行って来ました vol.1 <告知〜手術までvol.18>

2017年5月下旬に乳がんの凍結療法の手術を受けました。
告知されてから手術までを振り返っています。
前回は、HER2再検査のための細胞(プレパラート)を転院前の病院に依頼したことについて「プレパラートの依頼・HER2の再検査のために」 <告知〜手術までvol.17>でした。

今回は、2017年3月末頃に受けた、乳がんの遺伝子検査を検討している場合に必要な「遺伝カウンセリング」についてです。

遺伝子検査とは

現在、乳がんと卵巣がん罹患者の約10%が遺伝性のがんだと考えられているそうです。これら2つは同じ遺伝子の問題で起こる病気で、遺伝性乳がんと卵巣がんを合わせて、HBOC(Hereditary Breast and/or Ovarian Cancer Syndrome)と呼ばれています。

HBOCは、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に問題(病的変異)がある場合を指します。乳がんで遺伝子検査というと、まずBRCA1とBRCA2を調べる検査をするそうです。

遺伝カウンセリングとは

乳がんに限らず遺伝子検査をする場合、事前に遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングを受けなければならないことが多いようです。遺伝子検査は、個人の遺伝学的情報を調べると同時に、どうしても血縁者(の遺伝子)についても関わらざるを得ません。遺伝子検査の結果が及ぼす影響が患者個人に留まらないことから、慎重に取り扱わなければならない、とされているようです。

父方の伯母2人が乳がんの私は、医師の勧めもあり、まずは遺伝カウンセリングを受けることになったのです。

遺伝カウンセリング当日

この時検査や診察を受けていたのは鴨川のK病院(本院)でしたが、遺伝カウンセリングは都内のクリニックで行っているとのことで、この時はじめて都内のクリニックに行きました。

予約時間から少ししたところで、診察室に呼ばれます。私と同年代くらいの女性のカウンセラーさんです。なんとなくですが、病院の「お医者さん」より雰囲気が柔らかく、お話しやすい印象でした。

家族歴の確認

まず、家族歴の確認から。遺伝子検査でもっとも核になる部分かな、と思います。私の話を聞きながら、遺伝カウンセラーさんが簡単な家系図を作ってくださいます。

私の家族構成と身内でがんになった人を伝えます。まず、父方の伯母2人が乳がんで、一人は40代の時に乳がんで亡くなっています。私の両親は離婚しているため、父方の親戚とも疎遠になっており、最近までもう一人の伯母が乳がんになったことを知りませんでした。なので、詳しいことも聞いていないのですが、おそらく50代位で乳がんになってしまったけれど、今は元気にしている(らしい)とお伝えしました。

かなり不確定な要素として、母方の祖母の母(曾祖母)が胃がんだったらしい、という話もしましたが、その曾祖母は祖母が子供の頃に亡くなっており、祖母も既に他界しているため正確な情報はわかりません。父方の伯母以外の情報は持ち合わせていないので、あまり役に立つ情報はお伝えできませんでした。

遺伝的要因

乳がんの要因には多かれ少なかれ遺伝的要因がある場合多い、と考えられているので、家族歴を聞くことは重要なことだそうです。大きな遺伝的要素としては、特定の遺伝子の病的変異を挙げられます。小さな要因としては、がんになりやすい「体質」があるかもしれない、とのことです。

その特定の遺伝子とは、「BRCA1 遺伝子」と「BRCA2 遺伝子」で、どちらかに変異(変化)があると、乳がん卵巣がん、さらには前立腺がん膵がんなどにもなりやすいことがわかっています。アメリカのガイドライン策定組織 NCCN(National Comprehensive Cancer Network)によると、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に病的変異がある女性の中で、乳がんの生涯発症リスク推測値は41-90%、卵巣がんの生涯発症リスク推測値は8-62%と記載されているそうです。ただし、変異のある遺伝子を持っていたとしても必ずしもがんになるとは限りません

また、この2つの遺伝子以外の遺伝子も関わっている可能性もあるとのことで、病院や検査機関によってはさらに多くの種類の遺伝子を調べる「パネル検査」を行っているところもあるそうです。

変異のあるなし問わず、遺伝子は、親から子へと、性別に関係なく1/2 (50%) の確率で受け継がれる、という説明も受けました。私には弟がいるのですが、もし私の遺伝子に変異があった場合、弟の遺伝子にも変異の可能性があるということになります。そして、もし弟の遺伝子にも変異が合った場合、確率は低くなりますが、弟の子供達にも遺伝子に変異がある可能性が出てくるので心配です。

遺伝子検査を勧められる条件?

以下のいずれかに当てはまる場合に、HBOC(遺伝性乳がんと卵巣がん)を疑われるため、まずは遺伝カウンセリングを勧められます。

  1. 若年性乳がん(40歳もしくは50歳以下で診断された)
  2. 60歳以下で診断されたトリプルネガティブ(参照:検査結果を待つ間 I )の乳がん
  3. 一人で2つ以上の原発性乳がん
  4. 一人で乳がんと卵巣がん
  5. 男性乳がん
  6. 乳がんを発症したことがあり、かつ、次にあてはまる第3親等以内の血縁者がいある(a.50歳で乳がんを発症、b.卵巣がんを発症、c.乳がん又は膵がんを発症(2人以上))

など。

私は2つの項目があてはまります。①の若年性乳がんと⑥aとcの乳がんを発症したことがあり、かつ、第3等親(伯母)2人が乳がんで、一人は40代で発症です。

私の中で「若年性乳がん」とは35歳以下の乳がん罹患者のことを指すと思っていたので、41歳の私が若年性乳がんに入ると言われて、「私、若手なんですか?」と思わず確認してしまいました。41歳で見つかったということは、その前、恐らく30代で乳がんを発症していた可能性が高いのもあって「若年」に入るそうです。久々に「若手」に含められたので、一瞬喜びそうになってしまいましたが、全然喜ばしいことではないですね…。

乳がんの危険因子

遺伝以外にも、乳がんになりやすい、と言われている危険因子があるというお話もしていただきました。下記は、乳がんになる可能性が高い、または、確実に要因となっているとされているもののリストです。

◇女性ホルモン関連の生理的な要因(長期間エストロゲンにさらされる)

  • 初経年齢が早い
  • 閉経年齢が遅い
  • 妊娠・出産経験がない
  • 初産年齢が遅い(高齢出産)
  • 授乳歴がない

◇体外からホルモンレベルを上げる要因(確実と言われている)

  • 経口避妊薬(ピル)の使用
  • 閉経後のホルモン補充療法

◇体格

  • 高身長(何センチ以上か明記はなし)
  • 閉経後の肥満(確立したリスク要因)
    (閉経前乳がんは、逆に肥満者でリスクが低くなる可能性が高い)

◇日常生活

  • 飲酒習慣(確実視されているリスク要因)
  • 高学歴

◇その他

  • 一親等(自分の母親または子)の乳がんの家族歴
  • 良性乳腺疾患の既往
  • マンモグラフィ上の高密度所見
  • 電離放射線への曝露(ばくろ)

私があてはまっているのは、

妊娠・出産経験がない、授乳歴がない、経口避妊薬(ピル)の使用(数ヶ月のみですが)、高身長(164cmは含まれる?)、高学歴(大学院卒は高学歴?)、マンモグラフィ上の高密度所見、です。高身長など本当に当てはまるかは疑問な箇所もありますが、割と多くの危険因子があったと言わざるを得ません…。

<遺伝カウンセリングに行って来ました vol.2に続きます>

 

<参考資料・サイト>
http://hboc.jp/index.html
http://www.falco-genetics.com/brca/medical/familial/index.html
http://www.jsgc.jp/
http://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis_qa.html
http://www.bikiniclinic.net/inside/special/2010/02/meii-01sn-03.html
http://www.falco-genetics.com/brca/medical/nxs/pdf/NS_04.pdf
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26763880
「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために(ver.3)」
  (http://hboc.jp/downloads/pamphlet_ver3.pdf)
小冊子「乳がん・卵巣がんと遺伝について」
  (http://www.hboc.info/pamphlet/pdf/shousasshi_20160600.pdf )

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