遺伝カウンセリングに行って来ました vol.2 <告知〜手術までvol.19>

2017年5月下旬に乳がんの凍結療法の手術を受けました。
告知されてから手術までを振り返っています。
前回は、2017年3月末頃に受けた、乳がんの遺伝子検査を検討している場合に必要な「遺伝カウンセリング」について「遺伝カウンセリングに行って来ました vol.1 <告知〜手術までvol.18>」でした。

今回は、その続きの「遺伝カウンセリングに行って来ました vol.2 」です。

遺伝子変異予測

乳がんの研究は乳がんの罹患者が多いアメリカや欧米諸国で進んでいて、参考にしているデータも基本的には欧米の人々の研究結果が多いのだそうです。ですが、その欧米の人々のデータが日本人・アジア人にどれほど当てはまるか、ということは疑問視されているそう。

最近では、韓国で大きなリサーチをしているそうで、同じアジア人として韓国のデータ・研究結果を参考にすることがあるそうです。その中に、KOHBRA (Korean Hereditary Breast cancer) BRCA risk calculatorという韓国の人による韓国の人々のために作られた「BRCA変異予測」というのがあります。欧米のものよりも日本人には合うのでは…ということで、日本で使用されることが増えているらしいのですが、カウンセラーさんがそのBRCA risk calculatorに私の家族歴やその他条件を入れて、変異予測計算をしてくださいました。

その結果、私のBRCA変異予測は、30.4%になるそうです。私は、約30%の確率でBRCA遺伝子に変異がある、ということです。これを、高いととるか低いととるか、どう考えてよいかちょっとわかりません…。

遺伝子検査の結果はどのする?

遺伝子検査をしてBRCA遺伝子に変異がある、とわかったらどうするのかをお聞きしました。まず、変異がある人が必ずしもがんになるとは限らない、という説明を受けた上で、予防的に乳房を切除する場合があるということでした。数年前話題になりましたが、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳がん予防のため両方の乳房を切除されましたよね。ご家族にがんの方が多い上、BRCA遺伝子に変異が見つかったそうですが、その後、卵巣の何かの検査にも問題が出たため、がんになる前に卵巣と卵管も摘出したそうです。

がんの予防のための乳房切除や卵巣摘出は保険適応ではなく費用もそれなりにかかります。それ以前にまだ健康な臓器をとってしまう、という選択肢は私にはありませんでした。そもそも、傷から受けるであろうダメージを避けて低侵襲の治療(凍結療法)を選んでいる位ですから、がんの再発や新たながんの発生が怖くても、なかなか決断できそうもありません。実際、日本では費用もかかるし、そこまで浸透していないそうです。(※低侵襲の医療:手術・検査などに伴う痛みや発熱、出血などをできるだけ少なくする医療のこと)

では、「遺伝子検査をするメリットは何か」をお伺いしたところ、「もし遺伝子に変異があるとわかれば、再びがんになる可能性が人より高いという自覚が生まれ、今後の検診や予防に対する意識が変わり、より一層気をつけることができる」という点だそうです。さらに、乳がんは触ってわかるがんで比較的見つけやすいそうですが、卵巣がんはなかなか見つけるのが難しく、早期発見がしにくいそう。卵巣に関してもより注意を向けられる、というのも利点の一つだそうです。

質問をいくつか…

カウンセリングの間、色々と質問させていただきました。

Q. 乳がんに関わる遺伝子はBRCAだけなのですか?

A. 代表的なもので、確実なものがBRCA1遺伝子BRCA2遺伝子だそうです。それ意外にも可能性がある遺伝子はいくつかあるそうです。

Q. BRCA以外の遺伝子検査は?

A. 色々な遺伝子をまとめて検査する「パネル検査」というものがあるそうです。このカウンセリングの時点(2017年3月)では、K病院では取り扱っていないとのことでした。

Q.BRCA遺伝子検査の 費用はどれくらい?

A. 保険適応ではないため、一般的には、20万円〜30万円かかるとのことでした。記憶が危ういですが、確かK病院では25万くらいと言われたような…。

Q. パネル検査はいくら位?

A. 定かではないけれど、30万円以上かかる、かもしれない、とのことでした。

Q. 遺伝子検査をお勧めする?(自分が乳がんになったら遺伝子検査をする?)

A.お勧めするそうです。カウンセラーさんご自身も乳がんになったら遺伝子検査を受けると思う、とのことでした。予防的切所、ということではなく、やはり、今後気をつけるため、だそうです。実際、遺伝子に変異があるという結果を知った人の方が、その後がんになったとしても気をつけている分早期発見しやすい、というデータがあるようなことを仰っていたと思います。(スミマセン、この話はちょっと記憶が危ういです…)

カウンセリングの終わりに

お話を聞いていく中で、遺伝子検査を受けたい、かもしれない、位の気持ちになりましたが、金額のこともあるので、すぐには決断できませんでした。また、予防的切所、という選択肢がこの時の私にはなかったので、今後十分に気をつければ良いのでは…という気持ちになったのも事実です。結局、しばらく考えたい、医師とも相談したい旨を伝えました。

最後に、HBOC関連で勉強になるサイトを教えてもらい、この日のカウンセリングは終了となりました。

今回のカウンセリング、普段の乳腺科の診察と違って、じっくりと乳がんについて話を伺える良い機会となりました。遺伝子のこともそうですが、乳がんになる危険因子のことなど色々と学ぶことも多かったです。この当時はほとんど乳がんについて誰とも話をしたことがなかったので、乳がんのことを気兼ねなく話せるというのもよかったです。

医師による診察の時には、聞きたいことは沢山あって準備もしていくのですが、いつも病院は混んでいて、医師にも他の患者さんにもご迷惑な気がして、ゆっくりとはお話出来ません。(と言っても、いつも質問事項を用意していき、質問(攻めに)して、お答え頂いてます…)カウンセリングは1時間くらいの予定かと勝手に思っていたのですが、結局1時間半、みっちりお話してくださったため、とっても充実していました。

遺伝カウンセリングも保険適応でなく自費診療のため、1時間と1時間半では料金がだいぶ違うのでは…とビクビクしましたが、K病院はとっても良心的なお値段で助かりました。

参考になりそうなサイト

カウンセリングの時に教えていただいたサイトと私が調べていて参考になったと思うサイトをご紹介します。

日本HBOCコンソーシアムのサイト上にある「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために(ver.3)」という資料(http://hboc.jp/downloads/pamphlet_ver3.pdf)をお勧めされました。

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の情報サイト上にある、小冊子「乳がん・卵巣がんと遺伝について」(http://www.hboc.info/pamphlet/pdf/shousasshi_20160600.pdf )もわかりやすかったです。

他にも、下記「参考資料・サイト」の箇所にいくつかあるので、よかったらご参照ください。

2017年9月現在

随分悩みましたが、未だに遺伝子検査を受けていません。本来ならば手術前に遺伝子検査を受け、病的変異が見つかったら、予防的措置をするのか等を検討して術式も再検討することが望ましかったかもしれません。(例えば、遺伝子の変異が見つかったら凍結療法ではなく全摘手術を受ける、とか。これなら保険も効いたかもしれません…)

ただ、やっぱりどう考えても、例え遺伝子に変異が見つかったとしても、両乳房を切除する可能性は低い気がして、遺伝子検査を焦ってする必要はないかな、と思いました。じっくり考える時間も必要だと思いました。

改めてこの記事を書くにあたって色々調べましたが、今は遺伝子検査を受けたい気持ちが少し大きくなっています。当時は気づいていませんでしたが、調べている中でBRCA遺伝子に変異があると「膵がん」の可能性もあるという記載を見つけたからです。近年、家族ではないのですが、知人でがんで亡くなっている人は「膵がん」が原因の方が多く、膵がんは特に怖いイメージがあります。

遺伝子検査の結果云々の前に、今後、特に「乳がん」「卵巣がん」「膵がん」に関して十分に気をつければいいとも思いますが、結果を知ったことによりより強くがんを警戒する気持ちが生まれると思います。ただ、どうせ遺伝子検査を受けるなら、BRCA遺伝子以外の遺伝子も検査する「パネル検査」を受けたいのですが、金額の考えると躊躇してしまいます。

遺伝子検査を受ける、という決断するのは、もう少し時間がかかりそうです。いつか遺伝子検査を受けることがあったら、またご報告したいと思います。

 

<参考資料・サイト>
http://hboc.jp/index.html
http://www.falco-genetics.com/brca/medical/familial/index.html
http://www.jsgc.jp/
http://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis_qa.html
http://www.bikiniclinic.net/inside/special/2010/02/meii-01sn-03.html
http://www.falco-genetics.com/brca/medical/nxs/pdf/NS_04.pdf
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26763880
「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために(ver.3)」
  (http://hboc.jp/downloads/pamphlet_ver3.pdf)
小冊子「乳がん・卵巣がんと遺伝について」
  (http://www.hboc.info/pamphlet/pdf/shousasshi_20160600.pdf )

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