検査結果を待つ間 I <告知〜手術までvol.7>

2017年5月下旬に乳がんの凍結療法の手術を受けました。
告知されてから手術までを振り返っています。
前回は「造影MRI検査とCT検査 」<告知〜手術までvol.6>についてでした。

乳がん告知の一週間後、転移の有無を調べる造影MRI検査とCT検査をしました。結果が出るまでの一週間は身も心も落ち着かず、乳がんについて、自分の病理検査結果について、乳がんの手術の方式などなど、色々とひたすら調べて過ごしていました。今回は、その時にあらためて学んだ(大まかではありますが)「乳がん」についてです。
(*ものすごく基本的なことのみの記載です。何卒ご容赦ください☆)

乳がんとは

乳房は、乳腺と脂肪でできています。乳がんとは「乳腺」から発生する癌で、脂肪からは発生しないそうです。乳腺には「腺葉」と呼ばれる組織の集まりがあり、腺葉は「乳管」と多数の「小葉」からできています。

<乳がんの構造と乳がんの発生部位>
(出典:日本臨床外科学会 HP
http://www.ringe.jp/civic/nyugan/nyugan_01.htmlより)

乳がんの多く(90-95%)はこの「乳管」から発生し、「乳管癌」と呼ばれています。小葉から発生するがんを「小葉癌」と呼び、全体の5-10%だそうです。

浸潤がんと非浸潤がん

まず、告知されたときに一番先に説明されたのは、「浸潤(しんじゅん)がん」と「非浸潤(ひしんじゅん)がん」についてでした。私は「浸潤がん」と診断されています。

非浸潤がんは乳管上皮内に癌が留まっている状態で、乳がん全体の5~10%を占めるているそうです。転移はしませんが、場合によっては乳房内に大きく広がることもあり、全摘する場合もあります。転移の心配がないので、命を脅かすものではないそうです。

浸潤がんは、がんが乳管をつきやぶっている状態で、転移してしまうがん。サイズが小さくても、浸潤がんは転移の可能性があるので、やはり怖いです。転移の際はまずリンパ節に。そこからリンパ液や血液にのって骨⇒肺⇒肝臓⇒脳に転移する場合もあるそうです(遠隔転移)。

(出典:社会医療法人博愛会 ライブラリー 「乳がんとは」
http://www.sagara.or.jp/libraries/index.php/01nyusen/より)

<乳管の図>

(出典:スギホールディングス ピンクリボン運動 「乳がんの正しい知識を知ろう!」
https://www.drug-sugi.co.jp/hd/company/csr/pinkribbon/chishiki.html より)

一般的な治療

乳がんのサイズや他の条件にもよりますが一般的な治療として、

局所の治療:手術、放射線
全身の治療:抗がん剤、ホルモン剤、分子標的薬

があり、これらを組み合わせて治療を進めると告知の際に説明を受けました。いわゆる、標準療法です。

手術を受けて体内のがん(悪性腫瘍)を取り除いてから、再発防止の治療(放射線や抗がん剤などの全身療法)に進む場合と、最初に全身療法を受けてがんを小さくしてから手術をして、その後再発防止の治療に進む場合がある、とのことでした。

これからどのような治療をするのかは、病理検査の結果、CTやMRIの検査を総合して考えることになっていました。

ステージの決まり方

ステージ(病期)に関しては、病気の拡がり、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無で決まります。

ステージ0
非浸潤がん(細胞が乳管内にとどまっている)、または、
バジェット病(皮膚にできるがんの一種)

ステージ 1
しこりの大きさ:2cm以下
リンパ節転移:なし
別の臓器への転移:なし

ステージ 2A
しこりの大きさ:2cm以下
リンパ節転移:あり。リンパ節のしこりの可動性あり。
別の臓器への転移:なし
または、
しこりの大きさ:2-5cm
リンパ節転移:なし
別の臓器への転移:なし

ステージ 2B
しこりの大きさ:2-5cm
リンパ節転移:あり。リンパ節のしこりの可動性あり。
別の臓器への転移:なし
または、
しこりの大きさ:5cm以上
リンパ節転移:なし
別の臓器への転移:なし

ステージ 3A
しこりの大きさ:5cm以下
リンパ節転移:あり。リンパ節のしこりが周辺組織に固定されている。または、リンパ節が互いに癒着。もしくは、わきの下のリンパ節転移はないが、胸骨内側のリンパ節転移あり。
別の臓器への転移:なし
または、
しこりの大きさ:5cm以上
リンパ節転移:あり。わきの下または胸骨内側のリンパ節へ転移あり。
別の臓器への転移:なし

ステージ 3B
しこりの大きさ:問わない
リンパ節転移:あり。わきの下と胸骨内側のリンパ節両方への転移あり。
別の臓器への転移:なし
もしくは、
リンパ節転移の有無に問わず、皮膚にしこりが顔を出したり、皮膚がむくんだり崩れたりしているような状態。炎症性乳がんもこの病期から含まれる。

ステージ 3C
しこりの大きさ:問わない
リンパ節転移:あり。わきの下と胸骨の内側のリンパ節両方への転移、あるいは鎖骨上下のリンパ節に転移。
別の臓器への転移:なし

ステージ 4
しこりの大きさ:問わない
乳房から離れた別の臓器(骨、肺、肝臓、脳など)に転移

病理検査の結果だけでは病期はわからず、転移の有無の結果を待って、自分のステージがわかるようです。

乳がんのサブタイプ

乳がんになってはじめて知ったのが乳がんの「サブタイプ」についてでした。サブタイプとは、がんの性格(薬物がどれだけ効くか、どれくらい増殖する能力があるか、など)という表現のされ方をしています。このサブタイプが今後の治療の指針となります。

サブタイプは、ホルモン受容体、HER2、Ki67の値から分類されます。

ホルモン受容体

ホルモン受容体とは、「ホルモン療法、始まりました」の記事でも触れましたが、エストロゲンを取り込む役割をするもののことで、女性ホルモンであるエストロゲンとホルモン受容体が結びつくと乳がんのがん細胞が増えて、乳がんが大きくなってしまうそうです。ホルモン受容体には2種類あり、エストロゲン受容体(ER: :Estrogen Receptor)とプロゲステロン受容体(PR: Progesterone Receptor、黄体ホルモン)があります。

HER2(ハーツー)

HER2とは、「ヒト上皮細胞増殖因子2型」というがんの遺伝子で、細胞の増殖に関わっているそうです。乳がんの人の15~30%で、乳がん細胞のHER2遺伝子の数が増えていたり、HER2タンパクというタンパク質が過剰に発現したりしています。このHER2タンパクが多く発現している場合=IHC法(免疫組織化学染色法)で陽性と判定される場合やHER2遺伝子が多く増えているかどうか=FISH法で陽性と判定される場合などがあります。

Ki67(ケーアイろくじゅうなな)

Ki67 とはがんの細胞増殖の能力/程度を表す指標だそうです。Ki67陽性細胞の割合が高い乳がんは、増殖能が高くて悪性度が高いそうです。

サブタイプ分類

(出典:各種がん144「乳がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ」
国立がん研究センターがん情報サービス p.10より)

 

がんのサブタイプは、恐らく一般的には病理検査の結果からわかります。ですが、私が告知の際にもらった病理結果には詳しいことは書いていませんでした。造影MRI検査とCT検査の翌週の診察の際、先生に口頭で質問して教えてもらったところ、ホルモン受容体は陽性HER2は擬陽性、ということがわかりました。HER2が擬陽性だったため、その後もしばらくは自分のサブタイプははっきりしていませんでした。

次回は、今回記載したことをふまえての私の病理検査の結果についてです。

<検査結果を待つ間 II>に続きます。

 

参考資料・サイト
http://www.jccnb.net/info/index.html
http://www.nyu-gan.jp/breast-cancer/
http://www.breast-hp.jp/women/mamoru/kosei.html
http://nyuugan-plaza.com/bunrui
http://www.nyugan-infonavi.jp/senmoni/yakubutsu3.html
http://ganclass.jp/kind/breast/pharmacotherapy.php

中村清吾ほか(2011)「名医が語る最新・最良の治療 乳がん」法研
土井卓子(2015)「乳がんと言われたら読む本 治療・生活・食事・ケア・」蕗書房
各種がん144「乳がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ」国立がん研究センターがん情報サービス

 

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