友人への告知 <告知〜手術までvol.36>

2017年5月下旬に乳がんの凍結療法の手術を受けました。
告知されてから手術までを振り返っています。
前回は、「センチネルリンパ節生検の結果 <告知〜手術までvol.35>」でした。

センチネルリンパ節生検が終わってから実際に凍結療法の手術を受けるまで3週間弱の間があきました。それまで自分の乳がんについて話したのは家族だけでしたが、ついに数名の友人にも打ち明けることとなったので、今回はその辺りのことについてです。

術後6日目に一人の友人に初告知

センチネルリンパ節生検・術後の経過 」にちらりと書きましたが、センチネル節リンパ節の術後6日も経っていたら痛みも減って普通に動けるだろうと高を括り、高校時代からの友人二人と食事に行く約束をしていました。その頃は痛み止めを飲まなくても我慢はできる程度でしたが、手術を受けた右側の手で荷物も持てず、ゆっくりしか歩けないような状態でした。

よく食事に行く長年の大変親しい友人たちですが、心配をかけたくないし転移の有無がわかるまではがんのことを誰にも言いたくない気持ちがあったので、なんとか普通に食事をして楽しく過ごしていました。こちらはそのつもりでしたが、お酒を飲まなかったり、やっぱり動きが鈍かったり、荷物を持って痛がるそぶりなどをうっかり出してしまいました。ちょうど肩を痛めていましたし、二人もそのことを知っていたので、「肩が痛い」と言い訳が通ると思っていましたが、二人のうち一人にいつもと様子が違うことを見破られてしまったのです。

もちろん、友人も私ががんだとは思いもよらなかったようですが、帰り道、もう一人の友人と別れた後、「どうしたの?」と聞かれました。よっぼど様子がおかしかったのか、彼女が鋭かったのか…その両方かな、と思いますが、その時にどうしてもうまく誤魔化すことが出来ませんでした。今思えば、誰かに話したいという気持ちがあって、都合よくどうしたのかを聞かれたことによって、問われるがままに答えてしまったのかもしれません。

ただ、どうしてもすぐに「がんが見つかった」と言うのが憚られて、言い方としては、「ちょっとよろしくないものが見つかっちゃって…」という言い方をしてしまいました。ですが、「大したことはないから…」と言ったのにも関わらず「まさかがんじゃないよね?」的なことをすぐさま聞かれました。その友人はご家族をがんでなくしていたためか、感ずるところがあったのかもしれません。

結局乳がんであることを伝え、そこから堰を切ったように見つかった経緯やセンチネルリンパ節生検の結果待ちであること、約2週間後に凍結療法を受けることなどを伝えました。なるべくショックを和らげるべく、友人にはとにかく初期で見つかったこと等プラスの話を伝えるように頑張りました。幸い、その友人の周りに乳がん経験者がいることもあって、そこまで打撃を受けたような様子はありませんでしたが、結果その後手術など心配をかけてしまうことになり、申し訳なかったです。ただ私としては、ちょうど家族とも折り合いが悪かった頃なので(参照:「家族と衝突〜4月の精神状態」)その友人に聞いてもらえてかなり精神的に楽になりました。

さらに別の友人たちへの告知

凍結療法の数日前に、今度は最初の大学(2回行ってます…)の時の友人たちにたまたま会う機会がありました。本当にたまたまなのですが、一人の友人はお医者さんではないのですががんの患者さんに携わるお仕事で、一人の友人はお母様を乳がんで亡くされています。お母様を乳がんで亡くされた彼女には言いにくい気持ちがあったのですが、遺伝子検査を受けるかどうか悩んでいたので、誰かに相談したかったのです。その時はすでにセンチネルリンパ節生検の検査結果が出ていて転移がないことがわかっていましたし、ちょうどいい機会かなと思い、相談することに決めていました。なので、この時は二人に会った時に自ら、ちょっと相談したいことがあるんだけど…と言うような感じで、病気が見つかった経緯などを話ました。

この時も私は病気のことを話すことが出来て、正直少しスッキリした気持ちがありました。結果として、本当に申し訳なかったのですが、二人にはやはり少なからずショックを与えてしまったようでした。今思えば勝手な考え方なのですが、なんとなく二人は「がん」について話しても大丈夫な気がしていたのです。二人の職業や経験からがんについて慣れているのではないか、と言うような考えを抱いてしまっていたのかもしれません。しかし、やはり、長年の友人が「がん」になる、ということは、別次元の話のようでした。本当にありがたいことに、ショックを受けつつもその二人は、「早期発見でよかった」「大丈夫よ」と励まし続けてくれました。その言葉の中に、私にと言うより友人自身に言い聞かせているような節があり、余計に自分が乳がんであることを伝えたことを申し訳なくも思いましたが、それまであまり励まされて来なかったので、二人の言葉は心強く、ありがたかったです。

遺伝子検査に関しては、今後、毎年必ず検診を受けるなど注意を続けていれば、急いで遺伝子検査をする必要はない、と言う私の結論に背中を押してもらえて、懸念事項が一つ減り、その意味でも相談することが出来て助かりました。

現在は

未だに私の乳がんに関して、ほとんど人に伝えていません。たまたま乳がんが見つかった時は働いていなかったので、仕事関係の人に話す必要もありませんでしたし、告知後は話題にしなくて済むようになるべく人に会わないようにもしていました。その後はすでに伝えてある友人たちと一緒によく会う友人や、たまたま術後に病気の話になった親しい友人数名に伝えた程度です。

特に手術や放射線治療が終わって心身共に元気になってからは、わざわざがんであることを言う必要もない気がして、ほとんど言っていません。隠す必要もありませんが、わざわざ言うこともないかな、と言う感じですし、言うタイミングもわかりません。と言いつつ、隠し事をしているような気もするので大々的に公表したい気もしたりしますが、言ったところもしも色眼鏡で見られてしまったら…とか必要以上に気を遣わせしまうのもイヤだし…なんて思ったりもしています。今のところ、もし病気の話題などが出た場合、話すこともあるかもしれないけど、わざわざ自分から話をふることはないかな、というスタンスです。本当は、例えば若い友人たちに検診を勧めるべく実体験をお話ししたほうがいいのかな、と思うこともありますが、体験を話さずとも検診は勧められます。必要以上に心配をかけたくないと思ってしまっていますが、私が気にするほど他人を心配なんてしないかもしれないので、自意識過剰な気もする…などなど、思いを巡らせています。

が、正直なところ、そういう思いを巡らせていたのは冬ぐらいまでで、最近は薬を飲みつつもがんのことは忘れつつあるので、わざわざ話題に出すこともないと言ったところでしょうか。(忘れすぎてついつい暴食してしまっているので、それは気をつけないといけませんが…)

いずれにせよ、私にとって「がん」を誰かに伝えるのは、なかなかハードルの高いことであることは間違いないと思います。忘れつつあると言いながら、どこかでがんに対する恐怖心だったりがまだ拭えず、話すことが難しいと考えている可能性もないわけではないので、その辺りはゆっくりと自分と向き合っていけたら…と思う今日この頃です。

 

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