2017年8月21日のCNN.co.jpによる「代替療法選んだがん患者、死亡リスク2倍に 米研究」という記事があったのでご紹介したいと思います。
アメリカの国立がん研究所の発表
CNNによると、
治療可能ながんに対して代替療法を選んだ患者は一般的な治療を受けた患者に比べ、死亡リスクが2倍になるという研究結果が米国立がん研究所の専門誌にこのほど発表された
そうです。
この記事によれば、一般的な治療というのは手術や化学療法、放射線療法などが含まれる治療法のことだそうです。日本でいわゆる「標準治療」に当てはまると思います。これに対してこの記事内では、医師ではない人物による効果が実証されていない療法についてを「代替療法」と定義づけられていました。
研究の概要
アメリカ・イエール大学のスカイラー・ジョンソン氏を筆頭とする研究チームは、2004年から2013年にかけてアメリカでがんと診断され、アメリカの国立がんデータベースに登録された患者840人の情報を集めて調査をしました。症例は、アメリカ国内で患者数の多い乳がん、前立腺がん、肺がん、結腸直腸がんが含まれます。その中から、代替療法を選んだ280人と、標準治療を受けた560人の生存率を比較したそうです。
調査の結果、代替療法を選択した患者が5年半後に死亡している確率は、一般的な化学療法・手術・放射線治療を受けた患者の2.5倍にも上っていたということなのです。
乳がん患者の場合…
「2.5倍」というのは全てのがん患者の平均で、がんの種類によっても差があるようです。
乳がん患者の場合、代替療法を選択した患者が死亡するリスクは標準治療を受けた患者のなんと5倍にもなってしまっているそう。結腸がん患者は4倍、肺がん患者は2倍の一方、前立腺がんではリスクが上昇する傾向はみられなかったのだそうです。
なぜ、代替療法を選択するか
近年では標準的な治療法を拒んだり遅らせたりして代替療法を選ぶ人が増える傾向にあるそうです。その背景には何があるのでしょうか。
記事によると、
代替療法を選ぶ理由は人によってさまざまだが、一般的な治療と同じ効果があって副作用はないと信じたり、体験談を披露している患者が実は一般的な治療も受けていることが知られていない場合もあるとジョンソン氏は指摘。病院や医師に対する不信感もあるかもしれない
と推測されています。
個人的には、インターネットなどにより情報が入手しやすくなったのも一因なのでは、と思っています。実際、「がんかもしれない」という状況になってから、ひたすらネットで情報を集めていました。さらに、告知のあとに本屋さんに行った際「この食事でがんが消えた」的な食事療法の本がけっこう置いてあり、「がんが消える(可能性のある)食事療法」という存在すら知らなかったので、とても驚きました。色々情報収集をした結果、食事療法だけに頼ったりはしていませんが、実際に野菜ジュースを飲んだりと広い意味では食事療法も取り入れています。
記事にあるように、色々ながんの体験談も出版されていたり、ブログなどインターネットで読むことができたり、情報がとにかく沢山あります。がんと宣告されて不安に思っているときに、「なんとかして治したい」と色々な情報を得ようとするのは当然のことだと思います。苦しいと思われる標準の治療法より、例えば食事だけなら全く痛みもない訳ですし、そういう気持ちになるのはよくわかります。
記事の中には「代替療法を選ぶのは、高収入、高学歴で健康状態の良い患者の方が多いことも分かった」ともありましが、原因・背景までは書いていませんでした。代替療法は高額になることも多いそうなので、その辺りも関係しているのでしょうか。
思い当たるような…
なぜ乳がん患者のリスクが他のがん患者より大きいか、理由は書いてありませんでした。個人的な勝手な憶測ですが、もしかしたら早期発見が増えたことが原因では?とも思ってみたり。がんが小さいうちは自分でなんとかできる、と思ってしまうのでしょうか。(と、ちらっと思ってしまったのは私自身ですが…)さらに、女性にとっては、乳房に傷をつけたくない、と思うこともあるかもしれません。私にとっては、乳房に限らず身体にメスが入ることはとても怖いことでした。いずれにせよ、それぞれの色々な理由が絡み合って、標準治療を拒む傾向にある、ということなのでしょうか。
私もいわゆる標準治療の手術をしたわけではないので、色々な選択肢を考えたい、という気持ちはわかります。ただ、私が受けた凍結療法はまだ標準治療とは言えませんが、代替療法ではないとも思っています。上記の代替療法の定義では「医師ではない人物による効果が実証されていない療法」とあったので、それには当てはまらないと信じています。…が、標準治療をややそれた、という思いもあり、少しの恐怖感と緊張感は正直あります。(この話はいずれまた…)
ふと思い立って、あらためて標準治療について調べてみました。国立がん研究センターのがん情報サービスによる説明です。
標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます。
一方、推奨される治療という意味ではなく、一般的に広く行われている治療という意味で「標準治療」という言葉が使われることもあるので、どちらの意味で使われているか注意する必要があります。なお、医療において、「最先端の治療」が最も優れているとは限りません。最先端の治療は、開発中の試験的な治療として、その効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、それまでの標準治療より優れていることが証明され推奨されれば、その治療が新たな「標準治療」となります。
(http://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/hyojunchiryo.htmlより)
これによると、「凍結療法」は最先端の治療に含まれると思います。先のことはわかりませんが、将来的に標準治療に含まれるようになればいいな、と思います。
まとめ
代替療法に否定的な気持ちはありません。むしろ、食事を改めよう、身体を温めよう、と代替療法(民間療法?)からも色々学び、取り入れたりもしています。近々記事にしようと思いますが、食事については食事療法、とまではいかないまでも、乳がんがわかってからはかなり気を使うようになりました。
その一方で、代替療法だけで治せるほどがんは甘くない、とも思っています。もちろん、たまたまうまくいった人もいるので、そういう体験談が巷にあるんだと思いますが、一人の人にうまくいったやり方が、他の誰かにいいとは限らないと思うからです。
逆に代替療法なんて全く意味がない!と考えている人の方が多いのでは、とも思います。どこまでを代替療法というのかを定義するのがまた難しいですが、病院での治療以外の身体をケアするという点では、代替療法が有益な場合もあるのでは、とも思っています。
理想は、どちらもバランスよくいいとこ取りで…なんて虫のいいことを思っています。いずれにせよ、色々な可能性を調べた上で、まずは病気の専門家である医師に話を聞くことからはじめて、それから自分の納得の行く方法を模索して、自分に合った治療がみつかるといいのでは、と思う今日この頃です。
☆あくまでも、記事を読んで感じた・考えた個人的な感想です。他の方の選択を避難したり否定したりする意図はありませんので、ご理解いただけますと幸いです。
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